私はFDM方式(熱溶解積層方式)のEnder-3という3Dプリンターを使っています。FDM方式の3Dプリンターは多くがタイミングベルトが使われていて、ベルトの張りが弱いと印刷精度に影響があります。今回、ベルトテンショナーを購入、取り付けてみたのでどんな効果があるのか紹介します。
タイミングベルトの張りが弱いとキレイに印刷できない
画像は印刷した3Dモデルの比較です。
もちろん3Dモデルデータ、スライサーの設定、フィラメント、ノズル等ベルトの張り以外は全て同じ条件で印刷しました。
一目でわかるように左側が正常、右側がタイミングベルトの張りが弱い状態で印刷したモデル。
上部の円形のところが楕円になってしまい、一番上の層の表面も隙間が目立ちます。
なぜベルトの張りが弱いとキレイに印刷できないのか?
Ender-3のX軸動作部分を図にしてみました。Ender-3ではX軸とY軸がタイミングベルトを使用しています。
プーリーは純正の状態だとステッピングモーター側のみ溝付き(歯が付いているタイプ)です。
ベルトの張りが弱いと正面から見てノズルが右へ移動するときは図の上側、左へ移動するときは図の下側のように赤い部分のタイミングベルトに遊び(たるみ)ができてしまいます。
Y軸に対しても同様で、ノズル若しくはテーブルが折り返し動作をするときにベルトの遊び分の印刷にズレが生じてしまうのが原因です。
四角い3Dモデルだとそれほど大きな影響はないかもしれませんが、特に円形のものを印刷するときはノズルとテーブルが繰り返し折り返すをするのでキレイに印刷できなくなります。
純正のEnder-3でベルトの張り調整のやり方
X軸(ノズル側)、Y軸(テーブル側)共にステッピングモーターはアルミフレームに通しボルトで固定されているのでプーリー側を調整するしかありません。
X軸(ノズル側)
正面から見える2本のボルトを一度緩めてプーリーを手で右側に引っ張りながらボルトを締め直します。
Y軸(テーブル側)
画像のボルト左右で合計4本を一度緩めて、プーリーを手で引っ張りながら締め直します。
Ender-3にベルトテンショナー取り付け
純正のベルトテンショナー無しの状態でも、手で引っ張って調整すれば印刷に問題なくキレイに仕上がるのですが、定期的に張り調整は必要で、手で引っ張るのも力が上手く入らず限界があります。
別売りのベルトテンショナーを購入して取り付けてみました。
私が購入したベルトテンショナー
購入したのがこちら。
左の黒色の物がY軸用、真ん中がX軸用。
X軸用は足が片方短いタイプになります。
右端の物はZ軸用のアンチバックラッシュナットです。
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ベルトテンショナーを買う際は同じCreality Ender3でもEnder-3、Ender-3X、Ender-3ProでY軸のアルミフレームの幅が違うのでご注意ください。
新型のEnder-3V2は純正でベルトテンショナーを搭載しています。
Ender-3、Ender-3XのY軸用
Ender-3 ProのY軸用
なぜ、X軸用とY軸用で色が違うのかと言うと、Y軸用のベルトテンショナーは間違えてこれを買ってしまいました。
ベルトテンショナー取り付け
取り付け方法はボルトを外して交換するだけですが、Y軸側がベルトテンショナーを取り付けて調整ネジを目一杯回しても張り切れなかったので、タイミングベルトのカシメ部分を一度外して、長さを短く調整しました。
カシメ部分を切らないでこじ開けるときはラジオペンチ等を使うと難しいですが両手でニッパーを二本使って作業するとやりやすかったです。
X軸 ベルトテンショナー取り付け後
Y軸 ベルトテンショナー取り付け後
交換後はベルトテンショナー側のプーリーがベアリングでなくなってしまいましたが、溝付きのプーリーなので印刷精度が更に良くなっているはずです。