Voxelab Aquilaのスペック・組立・調整・使い方まとめ

Voxelab Aquila X2 組立後

アマゾンで2万円程度で購入できるFDM式3DプリンターのVoxelab Aquilaですが、日本語での情報が少ないので他機種との比較、実際に買ってみて組み立て方法や使い方、調整、改造等についてこちらの記事で紹介しています。



Voxelab Aquilaの概要

Voxelabは3Dプリンター開発を行っているFlashforge社のサブブランドでFDM式と光造形式の2タイプの家庭用3Dプリンターを販売しています。Adventurerシリーズ等のFlashforgeブランドの3Dプリンターに比べて製品価格が2〜3万円で購入できる安価なモデルを取り揃えているのが特徴です。
Voxelab AquilaはCreality Ender3 V2と瓜二つのコピー製品で、Ender3 V2より1万円以上安い価格で販売されています。RepRap (replicating rapid prototyper) と呼ばれるオープンソースのFDM式3Dプリンターの技術を元に2018年にCrealityがEnder3を発売、後にEnder3V2が発売したことから派生しているものと思われます。





Voxelab Aquilaの基本スペック

Voxelab Aquila 正面画像
  • FDM (Fused Deposition Modeling/熱溶解積層方式)
  • 印刷精度 0.2 mm
  • 印刷サイズ 220 × 220 × 250 mm
  • ベルトテンショナー搭載
  • 加熱ベッド搭載
  • 静音モーター
  • 停電回復機能
  • オープンソースソフトウェア




Voxelab Aquila 無印、C2・X2・S2 モデルの違い

Voxelab Aquila 全モデル X2 C2 S2
Aquila 各モデル無印C2X2S2
液晶パネル4.3 inch 型カラー液晶128×64ドット 白黒液晶4.3 inch 型カラー液晶4.3 inch 型カラー液晶
ノズル最大温度250℃250℃250℃300℃
プラットフォーム最大温度100℃100℃110℃110℃
プラットフォーム種類炭素結晶シリコンガラス炭素結晶シリコンガラス炭素結晶シリコンガラスPEI 耐熱高接着マグネット
対応フィラメントPLA , ABS, PETGPLA , ABS, PETGPLA, ABS, PETG, TPUPLA, ABS, PLA-CF, PETG
PETG-CF, PET-CF,
PA12-CF, PA, PC, TPU
フィラメント切れ検知
エクストルーダー通常タイプ通常タイプ通常タイプダイレクトエクストルーダー

上の表は各モデルによる違いのみをピックアップして記載しています。
C2は液晶がEnder3と同タイプなので、オープンソースのプログラムをそのままインストールしてカスタマイズできるように作られている様です。
無印からX2が改良型で液晶が縦向き、プラットフォームの温度、フィラメント切れ検知が追加されています。
S2はダイレクトエクストルーダー化とノズル最大温度が上がり、適用フィラメントが増えています。

多機能で高価なS2ですがX2には付属のフィラメント切れ検知のセンサー付属していません。











Voxelab Aquila X2 を購入・組み立て

AmazonでVoxelab Aquila X2を購入しましたので、開封〜組み立てのレビューをしていきます。

※筆者はカナダ在住のため、カナダのAmazonから購入しました。

開封

Voxelab Aquila X2 外箱
Voxelab Aquila 開封 1段目
Voxelab Aquila 開封
Voxelab Aquila 開封 2段目

段ボール箱の中はスポンジが2段重ねでしっかり梱包されていました。





Voxelab Aquilaの組み立て

組み立て方法は公式からYouTubeの動画と取扱説明書のイラストを見ながら組み立て方がわかると思います。

実際に組み立ててみて特に注意する点とコツを以下に紹介します。



既に組み立ててあるボルトの増し締め

Voxelab Aquila ベース部増し締め

箱から取り出した時にベース部分やエクストルーダーは既に組み立ててありますが、念のためボルトの増し締めをおすすめします。
画像既にボルト止めされていたのベース部裏側と横側のメインフレームのキャップボルトがユルユルでした。





プーリーの当たり調整

Voxelab Aquila プーリーの当たり調整

X,Y,Z軸共にプーリーが柱を挟み込む形で動くような作りになっていますが、このプーリーの当たりが緩くガタがあるとキレイに印刷できません。
プーリーの柱への当たり調整が画像のプーリーの軸が六角の部分をレンチで回して調整します。

Voxelab Aquila ベッド プーリーの当たり調整 

組み付けたあと、ガタがないか確認しプーリーを手で回して若干抵抗があるある程度に調整しました。



柱の垂直度を確認

Voxelab Aquila 柱の垂直度確認

取手が付いている一番上の柱をボルト止めしたときに、画像の横の柱のエッジと縦の柱の面が1〜2mmくらい段差になっていました。
横の柱のカット長さのバラつきであればそのままでも問題ありませんが、実際には縦の2本の柱が若干斜めでしたので調整しています。


Voxelab Aquila 柱の垂直度確認方法

柱が垂直かどうか確認するには、

① Z軸のプーリーをノズル部が下降している時に手で回してみて当たり具合を確認。


Voxelab Aquila 柱の垂直度確認 Z軸上昇

② ボールネジを回してZ軸を一番上まで上昇させる。


Voxelab Aquila 柱の垂直度確認 Z軸上昇後

③ Z軸を上昇させたあと同様にプーリーを手で回してみてプーリーの柱への当たり具合を確認。
  これを左右共に行いました。

上昇させた時に外側のプーリーの当たりが弱かった(クルクル抵抗なく回転)ので、柱を固定しているキャップボルトを緩めて若干柱を押し込みながら締め直しています。プーリーのZ軸を上昇下降させてもプーリーの柱への当たりがなるべく変わらないように調整しています。


3Dプリントは0.1mm単位で印刷するのでこのような細かい調整がキレイな印刷に影響を与えます。






ベルトの張り調整は若干強めに

Voxelab Aquila 取説 ベルト調整

ベルトの張り調整はベルトテンショナーのボルトの出っぱりが0−2mmの範囲で締めすぎると壊れますと取説に記載があります。しかし、経験上ベルトは強めに張った方が印刷がキレイにできます。
筆者はベルトの張り具合を感覚で強めに調整してみて、テンショナーのボルトの出代がX軸3mm, Y軸4mmでした。







ベッドのレベル調整・テストプリント

電源投入前にパワーサプライのセレクトスイッチが115Vであることを確認

Voxelab Aquila 電源ユニット 115V 230V セレクトスイッチ

電源投入前にパワーサプライのセレクトスイッチが115Vであることを確認します。スイッチが230V だとスイッチをONしても電源が入りません。




ベッドのレベル調整

Voxelab Aquila ベッド レベル調整

操作パネルから

[Control]

[Auto Home]

を操作し、原位置出しを行った後


[Control]

[Disable Steppers]

を操作するとステッピングモーターのロックが外れて、手でノズルとベッドの位置を動かせるようになります。


手動でノズルとベッドの位置を四方に移動し、ノズル先端とベッドの隙がA4紙1枚分くらいになるように調整します。
筆者はA4紙は使わず、いつも目測のみで調整しています。

初回以降は自動でノズルとベッドの位置を移動してくれるGcodeを使って、レベル調整すると便利です。

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フィラメントのロード

Aquila Automatic load
Aquila  Automatic load 選択後

操作パネルから

[Control]

[Automatic Load]

を選択すると右の画面が表示されて、自動的にノズルを235℃に予熱が開始されます。
フィラメントを画面の図のようにエクストルーダーに通しておきます。


ポイント

3Dプリンター フィラメント先端を斜めにカット






フィラメントを通す前に差し込む側の先端をニッパーで斜めにカットしておくと引っかかりにくく、通しやすくなります。

Aquila フィラメント Auto load 予熱完了後画面
Voxelab Aquila ノズル

予熱が完了すると、エクストルーダーのステッピングモーターが回転し始め、ノズルまで到達するとフィラメントが溶け出てきてフィラメントのセット完了です。








テストプリント

Voxelab Aquila SDカード内 Aquila Test model.gcode
Aquila Test model.gcode
Voxelab Aquila  SDカード内 TestHook-pla.gcode
TestHook-pla.gcode
Voxelab Aquila SDカード内 Rotation Nut-pla.gcode
Rotation Nut-pla.gcode
Voxelab Aquila SDカード内 tool box-pla.gcode
tool box-pla.gcode

付属のSDカード内に4種類のテストプリント用Gcodeが入っていました。

SDカードを本体に差し込み、操作パネルから

[Print]

印刷するGcodeを選択

で印刷できます。


Voxelab Aquila ハンドル
Voxelab Aquila テストプリント ハンドル取り付け後

SDカードに入っていたGcodeの一つのハンドルを印刷してみました。これはフィラメントを手動で出し入れする時に付けていると便利です。
キレイに印刷できたと思います。







スライサーソフトはCuraがおすすめ

SDカード内にVoxelabのスライサーソフトとUltimaker Curaが入っていますが細かく設定でき、ユーザー数の多いCuraを使うことをお勧めします。

SDカードのCuraのインストールデータはバージョンが古かったので、ウェブサイトから最新版をダウンロードできます。

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AquilaはEnder3のコピーですのでEnder3向けのCuraの印刷設定、プロファイルデータをそのまま使うことができます。

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ファームウェアのアップデート

後日、更新版のファームウェアがあったので更新してみました。

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AquilaはEnder3シリーズ向けの多くの改造部品が使えます。また、Aquila純正で自動でレベル調整ができるセンサー(BL-Touch)の取り付け穴が付いており、ボルトオンで取り付け可能です。

Aquila BL-Touch
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サードパーティのファームウェアがあり、純正よりこちらの方が多機能でデザインがよく、無料なので本体を購入したらファームウェアだけでも変更するのがオススメです。

aquila custom firmware
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